動物のおしごと

おしごとファイル

アニマル・メディカル・センター
動物看護師主任
林部陽子(旧姓坂井陽子)さん

2002年 ヤマザキ動物専門学校卒

(資格)
動物衛生看護師/実験動物取扱技術師
(AHT,PGS,CDT取得)

現在の仕事にはどのような経緯で進まれたのですか?

常に動物のいる家庭に育ち、動物に関わる仕事につきたいと子どもの頃から考えていました。動物専門学校に進学したころは明確な目標があったわけではないのですが、授業の中で特に興味があったのは「病理学」の講義や、臨床の検査実習など、やはり現職に関連する授業だったかも知れません。寄生虫の卵などを実際に見ることができたのは、現在の仕事に直結して役立っているなと感じます。実物を見たことがあるのと、知識として知っているだけなのとでは全く違いますから。
学生時代の夏休みには、実際に、自分自身が飼っていた犬に血液検査や糞便検査を受けさせたりもしました。
勉強を重ねる中、知識と実生活が私の中でつながり、将来は動物の医療に携わって行きたいと思うように自然になって行きました。
卒業後は動物病院の看護師の職を得て、夜間病院を含め約4年間の実務経験をしたのち、卒業した動物専門学校に隣接するアニマル・メディカル・センターに転職して、今年で5年目になります。
現在は動物看護師主任として実務に就くかたわら、学生の指導にも当たっています。

アニマル・メディカル・センターでの仕事

私が勤務するアニマル・メディカル・センターは、ヤマザキ学園に隣接する動物病院です。アニマル・メディカル・センターでは、ヤマザキ学園の学生をインターンとして受け入れており、朝はまずインターン生の出席をとります。
そして、学生と一緒に診察の準備を行ったり、入院している子のお世話(散歩やケージの移動、手入れ)などを行います。
9時からは診察が始まります。診察の補助・検査や手術など、学生の指導をしながら行っています。
けがや病気の治療、リハビリテーションなどで長期にわたって通院する動物、飼い主さんもいます。動物病院は、飼い主さんとコミュニケーションを行う接客業という側面があるので、精神的にも体調的にも安定していることはとても重要だと感じます。一番気をつけているのは体調管理です。風邪を引かないように加湿器をつけるなど、みんなで気を配っています。また大型犬も扱うので体力をつけておく必要もあります。特に腰を痛めやすいので、私は寝る前にストレッチをして予防しています。

リハビリテーションの知識の重要性

昨年度、NPO法人日本動物衛生看護師協会でケーナイン・リハビリテーション・セラピスト-ベーシック-(犬の理学療法士‐基礎-)の資格を取得し、リハビリテーション(以下リハビリ)について系統立てて学ぶ機会ができたことは非常に重要なことだと思っています。資格取得のためのセミナーに参加し、とても貴重な経験ができました。
動物のリハビリには、人間と同様、体の不具合からの「機能回復」、という目的がありますが、実際に勉強してみると、それに限らず実務に役立つ部分が非常に多いことがわかりました。リハビリの基本知識やテクニックを身につけたことで、看護に対する技術や理解が深まったことを仕事の中でも日々実感します。
特に学べてよかったと実感するのはマッサージの技術です。看護師の仕事の1つとして「動物の保定(動かないように押さえる)」があります。うまく保定できなければ処置やケアができませんし、暴れられてけがをする危険もあるのです。保定の際、マッサージを行うことによって動物を落ち着かせることができることもあります。
動物病院では、動物はとても緊張しています。動物たちを落ち着かせる技術は、治療の上でも飼い主さんとの信頼関係を築く意味でもとても大切なことだと思います。


少し興奮気味でも…





林部さんのマッサージですっかり落ち着きました。

また、年をとって動きが悪くなった動物の運動もリハビリの大きなテーマです。講習では、アンダーウォータートレッドミルという水を使った装置の中を歩かせて運動させるハイドロセラピーも学ぶことができました。以前、朝起き上がるのに時間がかかる、というエアデールテリアの老犬がリハビリに来たのですが、入念にマッサージしてアンダーウォータートレッドミルで運動した帰りは見違えるほど足取りが軽くなっていて、飼い主さんも私たちもうれしくなるほどでした。関節を痛めずに効率よく運動を行え、手術後の機能回復だけでなく、ダイエットにも活用できるアンダーウォータートレッドミル、動物も楽しそうに運動しています。

動物の高年齢化、飼い主さんからのペットへの高度なケアの要求にともなって、今後リハビリの知識の重要性はますます高くなって行くと思います。今後専門職として、さらに深い知識と技術を身につける人が増えていくのではないでしょうか。

看護師という仕事の現状

多くの先輩方がおっしゃることだとは思いますが、「動物が好き」というだけではやっていけない厳しさが、動物病院の現場にはあります。日々いろいろな状態の動物や、飼い主さんがやってきます。時には交通事故にあい、瀕死の状態で運ばれてくる子や、安楽死に立ち会わなければならない場面もあるかも知れません。精神的にも強くないと勤まりません。
緊急時はもちろん、日常の診療時間でも冷静で臨機応変な行動が求められます。見落としてはならない症状を見落としたり、スムーズに処置を行えなかったり、自信を失ってしまうこともあるでしょう。でも、それは私も含め、新人のうちは誰もが乗りこえなければいけない事だと思います。諦めずに乗りこえて行ってほしいです。

動物達が元気になって行く様子に立ち会う機会は、看護師としてとても幸せなことです。動物や飼い主さんのためにも、安心して頼れる医療の場が増えて行くことが大切だと思っています。

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