動物のおしごと

おしごとファイル

株式会社インターズー
月刊「as」編集長 高橋真規子さん
(AHT,PGS,CDT取得)

1997年 現ヤマザキ動物専門学校卒業
動物看護職全国協会(仮称) 設立準備会
幹事

夫と3歳の娘との3人暮らし。仕事と家庭の両立に悩みつつも楽しみながら、周囲に助けられながら日々を送っています。仕事も育児もすべて「あきらめない」精神で一度の人生何でもできる限りやろう!、意志のあるところに道はある!ととりあえず進んできました。おいしいものを食べることや温泉につかること、乗馬トレッキングなどがリフレッシュ方法です。編集は素敵な方々にたくさんお会いでき刺激を受けることができる魅力あふれる仕事です。

動物衛生看護師から雑誌の編集者へ

子どもの頃から動物が好きで、一人っ子だった私は姉妹のように共に育ってきた愛犬の死をきっかけに、動物医療に携わりたいと考えました。
進学した動物専門学校では、さまざまな講義や実習を通して「動物衛生看護師は女性が一生できる仕事」という自信をもたせてくださいました。かけがえのない時間を過ごせたことに感謝しています。

動物専門学校2年生の頃から多くの動物病院で研修し、そのなかで働きたいと感じていた動物病院の一つに3年生の時からアルバイトを始めました。そしてそのまま就職し、動物衛生看護師として仕事に就いていたのですが、勤務中に持病のぜんそく発作が頻繁に起こるようになりました。検査を受けたところ、アレルゲンが動物にあるという診断結果が。血液検査で詳しく調べたところ、アレルギーが起こらない動物は、一般の動物病院に来院する動物の中ではハムスターだけという検査結果が……、ショックでした。いつか克服できると信じて、通院しながらがんばって仕事を続けていたのですが、無理がたたって入院することになり、主治医から「命と仕事どっちをとるの?」と聞かれ、約2年間の勤務後、泣く泣く動物病院を退職しました。

療養のあと就職活動をし、他職を経た後、2000年7月より現在の職場、株式会社インターズーで勤務しています。
インターズーは出版社ですが、雑誌や書籍にとどまらず、映像、CATVの番組作りなど、動物に関わる様々な事業を展開している企業です。
勤め始めた頃は、オペレーター業務や営業事務など、任された仕事はなんでもやりました。そしていつか、学生時代から愛読していた動物衛生看護師向けの雑誌「as(animalspecialist)」編集の仕事がしたいな、と思い続けていたところ、一年ほどたった頃にチャンスが巡ってきました。編集部員の欠員により『as』編集メンバーとして働けることになったのです。雑誌編集の勉強をしたことはなかったのですが、編集や印刷、レイアウトなど基礎知識についての参考書を一通り読み、先輩の仕事を真似たり印刷所へ足を運びながら仕事を覚えました。

「専門誌であっても読者にわかりやすく、コストはなるべく抑えて、しかも内容のレベルは落とすことなく」動物看護の現場で役に立つ雑誌とはなにか、ということを、リニューアル当時はスタッフ同士もぶつかり合いながら必死に考え、「as」はビジュアル中心の、どんな読者の方にも読みやすい雑誌を意識して変身しました。おかげさまで発行部数が増え続け、現在業界で唯一の動物衛生看護師向けの雑誌としてがんばっています。
私はそのまま編集の仕事に就き、「as」編集長を務めることになりました。
取材や記事起こし、専門家への執筆依頼、イラストや図版が必要ならその原図の準備と発注、付録の企画や制作、レイアウトやデザインの検討など、編集作業は毎月、1.5〜2人体制で行います。この他、特集記事をまとめたMOOK本の企画・制作なども担当し、忙しい中にも充実した日々を過ごしています。

動物衛生看護師のための雑誌「as」

「as」は現場の看護師さんを応援し、支援する雑誌です。「as」の編集に携わるようになってから強く感じるようになったこと、それは、動物衛生看護師という仕事の、職場環境の問題でした。動物衛生看護師の仕事は、体力的にとてもハードであるにも関わらず、勤務条件は決して良いとは言えません。
また「動物衛生看護師はドクターのアシスタント」という認識を持つ獣医師の先生も少なくはなく、看護師が一生懸命勉強したり、技術をあげる努力をしても、評価や歓迎がされない傾向があります。もちろん、そうではなく看護師も専門職だと位置づけチームワークを発揮し発展されている病院や獣医師の先生方も多くいらっしゃいます。しかし、長く仕事を続けることが難しく、志の高い優秀な看護師さんが育ちづらい職場が多いことも事実です。ここ数年、動物病院は増え続けていますが、一代限りで終わってしまう病院も多数あり、技術や知識の蓄積がしづらいという問題点にも気づき始めました。

このような業界内で、どうしたらこの仕事に誇りを持ち、成長しながら長く働き続けたい、と願う看護師さんを支援していけるのか……いつもそのようなことを考えながら、記事の企画を練っています。

毎号の企画案は、現場で直に取材して感じたことや、現場で耳にした悩みがヒントになっています。読者の方からいただく感想や質問などの生の声が、一番重要な参考意見です。
生き生きと仕事をしている看護師さんがいらっしゃる、と聞けば、取材に飛んでいきます。お仕事の様子を一日中張りついて取材したり、仕事上の悩みや、知りたい情報などを伺う、そのような積み重ねから「as」は作られています。記事では、現場で今困っていること、すぐに役立つことを意識して取り上げ、図解や写真を使ってわかりやすく説明することを心がけています。悩み相談の連載もあります。現場の方から「知りたかったことが載っていた!」「参考になったよ!」と言っていただけるのが一番うれしいですね。

長く働き続けられる環境のために「as」ができること

「as」は動物病院単位での購入数が約7割を占めていますので、動物衛生看護師の方だけでなく、病院の院長先生や、勤務医の方々も読んでくださっているようで多くの反響をいただきます。「新人看護師教育」についての特集記事を載せた時は、看護師さんばかりではなく、先生方からも、スタッフ教育に悩むことが多かったので参考になったという感想をいただきました。
「as」の記事から、先生方が看護師さんに期待していることや、看護師さんが勉強したいと考えている内容、悩んでいるポイントなどを知ってくださり、コミュニケーションが円滑になるお手伝いができること、これも私たちの願いです。

私は、動物衛生看護師という仕事は、サポート職ではなく、プロフェッショナルな仕事だと思っています。組織のなかでは獣医師が上司となる場面もありますが、動物衛生看護師だからできる仕事というのがまた別に存在します。
プロフェッショナルな仕事とは、技術と知識を要し、誰でもはできない仕事、その人の代わりはいない仕事、ということです。長く働き、さまざまな経験を積んだスタッフが現在いかに少なく、どれほど貴重かということ、それは現場の先生方や看護師さんが一番実感していることではないでしょうか。
現在は出産や育児を経た看護師さんが現場に戻ることは難しいという現状があります。でも動物衛生看護師という職種に関しては、育児経験のある方の存在が、必ず病院の役に立つはずだと私は思うのです。

動物看護の最前線、最先端は常に現場にあります。現場にいてこそ、病気の動物や、悩みを抱えた飼い主さんの役に立つことができるのです。現場でがんばる看護師が評価され、生き生きと働いていけるような場所になるために、「as」にできることは何か、まだまだ考えていきたいと思っています。

今後の夢として、非常にプライベートなことですが、3歳になったばかりの動物好きの娘が将来、動物看護師になりたいなんていってくれたならすごく嬉しいなと夢見ている自分がいたりします。全く押しつけるつもりはありませんが、そうした場合、一人の母親として安心して送り出せるような、そんな業界にしていきたい、職業にしたいと心から思います。

動物看護師が安心して仕事に就け、動物医療業界も活気ある将来になることを願ってやみません。

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