動物のおしごと

おしごとファイル

ヤマザキ学園インストラクター
門馬絵美さん

S49.4 シブヤカレッジ 入学
S51.3 シブヤカレッジ 卒業
プロフェッショナル・ドッグ・グルーマーライセンス取得

(職歴)
S51.4 シブヤカレッジ 入社
S53.3 シブヤカレッジ 退社
S53.5 ケイヒン・ミモト 入社
ジャン・ピエール(ペットショップ)に移る
H10.12 ヤマザキ学園 インストラクター
現在に至る

門馬先生はどのような経緯でこのお仕事に進まれたのですか?

私は出身が高知県なのですが、もともと両親とも動物好きで、家には犬、猫、ヤギ、小鳥などがいて、まるで動物園のような環境で動物に囲まれて育ちました。
高校卒業後、事務職系の専門学校に進んでいましたが、友達が通っていた動物関連の専門学校の説明会に行き、方向転換を決意します。そしてシブヤカレッジ(現ヤマザキ動物専門学校)に入りなおして2年間みっちりグルーミングの勉強をしました。

卒業後は、母校で教職を勤めていたところ、上司の先生から、ケイヒンミモトというブリーダーを紹介していただきました。ケイヒンミモトはプードルを専門にしたブリーダー(繁殖業)で、その犬舎(けんしゃ)からは多くのチャンピオン犬が生まれています。しっかり手に職をつけたい、その願いが強くなり、学校を退職しケイヒンミモトに入り、その後経営を始めたペットサロン「ジャンピエール」で、プードルのグルーマーとして働くことになりました。途中、育児のため5年間休職したあと、職場に戻り、現在は、グルーミングの仕事と、専門学校でのグルーミング実習のインストラクター・非常勤講師を勤めています。
マンション住まいで犬が飼えないため、サロンや学校で会うわんちゃんたちがかわいくて仕方がありません。
はさみを持たない日はほとんどないという毎日です。

グルーミングの授業はどんな様子なのでしょうか。

学校では「モデル犬」を連れてきてくださる飼い主さんのご協力のもと、学生が実際に犬のカットをする実習を行います。
授業で毛にはさみを入れるとき、犬が言うことを聞かなくて苦労している学生の姿をよく見ます。同じ犬でも、講師がさわると急におとなしくなって言うことを聞いたりするのですが、それはなぜなのでしょう。
犬とグルーマーには、犬と飼い主とはまた違う信頼関係があります。安心して任せていい人かどうか、犬にはちゃんとわかってしまうんです。犬が暴れるということは、犬が不安になっているということ。はさみを持つ時、空いている左手で犬を支えながらカットしていくのですが、どうもその支えている左手の具合で、慣れているかどうかわかってしまうみたいですね。
最初は暴れていたわんちゃんが、次第に落ち着いて言うことを聞いてくれるようになったりすることもあります。そういう時は、信用してくれるようになったんだな、と、すごくうれしくなるものです。

飼い主さんがいるときは言うことを聞かなかったのに、飼い主さんの姿が見えなくなったとたんにいい子になって、おとなしくカットさせてくれるわんちゃんもいます。飼い主さんの愚痴を言っているみたいで、ちょっと面白いなぁと思ってしまいますね。

グルーミングをする上で大切なことはどんなことでしょうか。

犬の毛を整える、というのは、ただきれいにスタイリングするということとは全く違います。
グルーミングで一番大切なことは、まず、犬が快適に過ごせるようにしてあげることです。

例えば、老犬をお連れになって「長く仕上げてほしい」とおっしゃられるご高齢の飼い主さんがいらっしゃるとします。長い毛を常に清潔に保つことは、体力的にとても大変なことです。洗ったり、乾かしたり、ブラッシングしたりという動作は、ご高齢の飼い主さんの手に余ることでしょう。このような場合は、こざっぱりと、あまり長くないスタイルをご提案する方がよいのです。
来るたびに毛玉だらけのわんちゃん。ノミがついているのに、お部屋で飼っているわんちゃん。そんな状況では飼い主さんだって、犬だって気持ちが良いわけがありませんよね。犬と飼い主さんの両方が快適に暮らせるような提案ができるようになっていくことは、とても大切なことだと思います。

わんちゃんをかわいく美しく仕上げるためのコツがありましたら教えてください。

わんちゃんのカットには、その犬にふさわしい、いくつかの標準的なスタイルというのがあります。
まずは飼い主さんのご要望を伺い、実際目の前にいるわんちゃんを見て、仕上がりのイメージがすぐに湧いてくることが大事だと思います。
そのためには、常日頃から、「犬をよく見る」ということを心がけていただきたいな、と思います。
街を歩いている時も、漫然と歩くのではなく、散歩しているかわいい犬を観察してみましょう。
顔、しっぽの形、体型、毛の長さ、耳の形...
ドッグショーに行って、いい犬をたくさん見るというのもおすすめです。写真集や参考書などもよく見ておいてください。
よい見本をたくさん見ておくことで、標準的なスタイルと、今自分がやろうとしている犬はどう違うのか?欠点はどんなところなのか?見極められるようになります。
そのうちに、スタンダードに近づけるために必要なことがイメージできるようになると思います。

グルーマーに適性がある人とはどんな人でしょうか。

グルーミングの仕事というのは、頭で考える程きれいな仕事ではありません。うんちやおしっこの始末はもちろん、犬が暴れてけがをしたり、噛まれることも日常茶飯事です。自分の経験が浅く、犬が言うことを聞いてくれないつらい時でも、犬と飼い主さんのために仕事をやっていこう、という強い信念や根気がないと勤まらないと思います。
犬は自分で「毛が伸びてきたなぁ」とサロンに来る訳ではありませんよね。連れてきてくださるのは飼い主さんです。ですから飼い主さんとしっかりコミュニケーションできることが大切です。カットのご要望はもちろん、お家でのお手入れ、飼い方の疑問などを聞き出せるような人、
つまり、人が好きで、話すことが好きな人、よく気が利く人が向いていると思います。

また、先ほど、犬をよく見る、というお話をしましたが、それはスタイルのお話だけではありません。普段から犬をよく見て、本来の姿がわかっていると、歩き方がおかしいとか、毛が薄くなっている、とか、飼い主さんが気づいていない病気や異変にも気づくことができます。
耳で聞いて、目で見て、手で触れて、いろいろな部分に気を配れること、これも大切なポイントです。
病気の基礎知識も必要ですね。私は昔学校で習っておいて、本当によかったと、今改めて思います。

最後に、技術的なことは、経験が一番。いい犬を見てセンスを養いつつ、とにかくたくさんの犬をカットしてください。
犬と飼い主さん、両方が快適に過ごせるような提案ができるグルーマーになっていただきたいな、と思います。

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