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専攻科論文

イヌ・ネコの肥満と生活環境に関する調査

専攻科 荒川真希

-概要-

問題:
ペットブームといわれている昨今、少子化社会の日本ではペットとして多くのイヌやネコを見かける。人間の寿命が延びるに従い、イヌやネコの寿命も飛躍的に延びたが、その一方では、栄養過剰や運動不足により肥満したイヌやネコが数多く見受けられるようになった。一般的な単純性肥満の原因は、イヌ・ネコの生活環境によるいくつかの因子が絡み合い発症する。
方法:
本調査では、2007年8月から9月にかけて、東京、神奈川、埼玉および栃木の一般家庭で飼育されているイヌおよびネコの肥満の発生状況と生活状況についてアンケート調査を実施し、肥満の発生と生活状況の関連性を検討した。
結果:
イヌ106頭、ネコ29頭の回答が得られた。イヌの品種は27種にわたり、平均年齢は5.82歳であった。オスとメスの割合は55.2%、44.8%であった。イヌの体型をボディーコンディションスコア(BCS)に基づいて飼い主が分類した結果、理想体重が最も多い51.9%であったが、体重過剰(BCS4)と肥満(BCS5)がそれぞれ33.0%、6.6%であり、合計39.6%で約4割の飼い主が自分のイヌは理想的な体型より太っていると考えていた。ネコではそれが44.8%と、イヌより高かった。一般的な肥満の原因として考えられる過食について、イヌにおける間食の有無と肥満との関連をみたところ、有意(p<0.05)な関連はみられなかった。食事の回数と肥満には関連性が認められ、1日に2回食事を与えているグループより、1回のグループに肥満傾向(p<0.25)がみられた。運動不足も肥満の主な原因として挙げられるが、今回の調査では、散歩の有無やその頻度および時間と肥満との有意な関連はみられなかった。イヌとネコともに性別と肥満については有意に関連がみられた。
考察:
間食を与えている飼い主はイヌの体調を考えながら食事量を減らしたり、運動量を増やしたりして調節しているのではないかと推察される。性別も肥満に関連する要因のひとつであり、今回の調査においてはメスのイヌに肥満傾向がみられた。それは、性ホルモンが強く影響するからである。また、去勢・避妊手術を受けているイヌにおいて有意に肥満しており、去勢・避妊手術の有無が肥満と有意に関連のあることが明らかになった。これは、性ホルモンの分泌の変化により、成長や運動のためのエネルギー消費が急激に減少することが原因である。しかし、肥満群の飼い主に肥満と「去勢・避妊手術の関連はあったか」と質問したところ、半数以上が関連はなかったと回答した。その他にも、年齢や品種において、肥満との関連がうかがわれた。ネコにおいては、性別と肥満との発生に有意な関連性がみられ、オスで有意に肥満であったが、これは去勢・避妊手術の有無が大きく関わっていると考えられた。
今後の動物看護分野において適切な栄養指導を行うためにも、更なるイヌ・ネコの肥満や生活環境に関する調査が行われることを期待する。

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