活動の紹介

専攻科論文

伴侶動物の遺伝性疾患に関する意識調査

ヤマザキ動物看護短期大学 専攻科
久保田結衣

-概要-

問題:
遺伝性疾患の拡大への対策として血統書による遺伝性疾患発生家系の調査と情報公開、それに基づいた計画的な繁殖があるが、それは飼育者の理解と協力が必要である。そこで今回、動物を飼育している一般飼育者と一般飼育者を指導していく立場である動物看護を学んだ人に伴侶動物の遺伝性疾患に関する意識調査を行った。また犬の遺伝性疾患への取り組みのひとつに「股関節形成不全の診断結果を飼主の意向により血統書に記載できる」というものがあり、その取り組みに関して日本動物遺伝病ネットワークが2006年4月1日にFCIアジアインターナショナルドッグショーにて行ったアンケート調査結果が公開されている。そこで、今回の調査結果と併せて比較検討した。
方法:
独自に作成した質問項目に加え、日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)の実施した「犬の遺伝性疾患に関するアンケート調査」の結果と比較検討することを目的にアンケートを作成。今回の調査では動物看護を学んだ人90名、一般飼育者51名の協力を得て両者の回答を比較検討した。
結果:
全17項目の内「動物の遺伝性疾患の認知度」、「遺伝性疾患に関するDNA診断の認知度」、「飼育動物が遺伝性疾患の因子を持っているかを知りたいか」、「股関節形成不全の診断結果を記載するか」の4項目で両者の回答に有意な差が見られた。「動物の遺伝性疾患の認知度」、「遺伝性疾患に関するDNA診断の認知度」のどちらも動物看護を学んだ人で高く、「飼育動物が遺伝性疾患の因子を持っているかを知りたいか」については動物看護を学んだ人が「知りたい」と答える人が多く、「股関節形成不全の診断結果を記載するか」という問いには「どのような結果でも記載する」という回答が動物看護を学んだ人に多いことがわかった。これは動物看護を学んだ人は講義や実習を通して遺伝性疾患への知識や理解、関心が高まるのに対し、一般飼育者ではそもそも遺伝性疾患の問題に触れる機会が少ないと考えられる。  両者間で明確な差が見られたこの4項目とは対照的に、両者の回答で差が見られなかった項目としては「遺伝性疾患の発生の仕組みの理解」、「遺伝性疾患への考え方や不安」などであった。特に「遺伝性疾患の発生の仕組みの理解」は遺伝性疾患の拡大を食い止める上で重要であるが、動物看護を学んだ人でこの仕組みを理解している人は予想外に少なかった。
考察:
今回の調査で一般飼育者と動物看護を学んだ人の遺伝性疾患に関する知識は不充分であるが、両者ともに関心は高いことがわかった。今後、両者それぞれにとって有効的な情報経路を用いて遺伝性疾患の情報の伝達をしていくことが重要である。

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