活動の紹介

専攻科論文

アガロースゲルを用いたイヌALPアイソザイムの検討

ヤマザキ動物看護短期大学 専攻科
秋葉千尋

-概要-

問題:
日常の小動物臨床において、診断はもちろん全身状態の把握や病気の予後を推察する目的で各種臨床検査が実施されている。一部のルーチン検査は病院内で実施され、検体からの情報を数字や画像(データ)として表し利用している。これらの検査の多くを動物看護師が担当している。イヌの血清総ALPには、骨由来(BALP)、肝由来(LALP)、コルチコステロイド誘発性(CALP)の3種類のアイソザイム分画が報告されているが、正常なイヌの血清ALPアイソザイムのほとんどが肝由来アイソザイムであると考えられている。ALPアイソザイムの分画方法は煩雑であり、所要時間や経費の問題などから臨床現場ではほとんど実施されていないのが現状である。本課題研究においては、日常の小動物臨床(主にイヌ)におけるALPアイソザイム分画の利用価値について検討する目的で、アガロースゲルを用いたALPアイソザイムの分析を試みた。
方法:
S動物病院およびN動物病院に来院したイヌの血漿(血清)の余剰分を分けていただき、ヘレナ研究所のアルカリ性フォスファターゼアイソザイムキットを用いてアイソザイムの分画を行った。
結果:
本課題研究で使用したキットでのアイソザイム分画の方法は比較的簡易であり、ALP総活性の低い検体でも有意な波形が検出された。試料の準備からデンシトメーター処理までの全工程は、慣れれば2時間程度で行える内容であり、各反応時間や泳動時間の間(計80分程度)に日常業務も可能と考えられた。以上のことから、アガロースゲルを用いた電気泳動法は小動物の臨床現場において有効に活用できると判断した。
考察:
近年CTやMRIによる精密検査が行われているが、動物の場合、それらの検査には麻酔処置が必要となる。麻酔は動物にとっては大きな負担になり、心疾患や肝臓疾患等の代謝異常のある動物は高いリスクを背負うことになる。その背景から、わずかな血液を用いて可能なアイソザイム分画の解析法を確立しておくことも大切であり、緊急に診断、治療が必要な場合には大いに役立つと考えられる。
今後の課題として、今回検出できたバンドがどの臓器に由来するバンド(ピーク)であるか明らかにするために、イヌの各臓器の抽出試料を用いた波形の比較、熱に対する耐性の有無、レバミゾールや小麦胚芽レクチン(WGA)などを用いた阻害作用による影響、ノイラミニダーゼ処理による移動度の変化などを観察し、各ALPアイソザイムを特定する必要があると考えられた。

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