活動の紹介

専攻科論文

犬の組織ALPアイソザイムのアガロースゲル電気泳動法による分析

ヤマザキ動物看護短期大学 専攻科
小玉智美

-概要-

問題:
臨床検査の一つである生化学検査は各種器官の健康状態を評価する指標となる。本課題研究では、その検査項目の一つであるアルカリフォスファターゼ(ALP)に着目した。ALPは動物の生体内各種臓器組織に広く分布しており、ALPアイソザイムは由来臓器によって酵素の特徴が異なるため、分析により障害臓器を推定することが可能である。そのため、血清ALP総活性値と合わせてALPアイソザイムの評価も必要である。本研究ではその意義を証明するため、各臓器組織から抽出したALPアイソザイムを市販のアガロースゲルを支持体とした電気泳動法により検索した。
方法:
各臓器組織抽出液を健康な成犬ビーグルの肝臓(肝臓実質)・腸粘膜(十二指腸粘膜)・腎臓(皮質、髄質)・骨(大腿骨、脛骨の海綿状組織)・分娩後の胎盤から、Itohら(2002)の方法に準じて作成した。その後、ヘレナ研究所のアルカリ性フォスファターゼアイソザイムキットを用いてアイソザイムの分画を行った。
結果:
肝臓、骨、腸粘膜由来ALPアイソザイムの波形は臓器特異的な特徴が認められ、加熱試験ならびに阻害剤による阻害試験も過去の研究報告と同様の性状が得られた。本研究で行った5つの臓器組織のうち腎臓、胎盤由来ALPは半減期が短い等の理由から、通常の血中での確認は困難であるとされている。そのため、本研究の目的であるイヌの臨床現場におけるアガロースゲル電気泳動によるALPアイソザイムパターンの有用性は肝臓ならびに骨由来アイソザイムとステロイド誘発アイソザイムに類似の性質を持つ腸粘膜由来ALPアイソザイムの3つにあると考える。
考察:
市販のアガロースゲルを用いた犬のALPアイソザイム分析方法が診断に有用であることが示唆された。しかし、今後の課題として、これらを実際に病気のイヌ血清と比べ、臓器抽出液で認められた性質が血清中でも認められるかを確認し、臨床応用への有用性を証明する必要がある。

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