活動の紹介

専攻科論文

犬の顔面皮膚の組織学的比較

ヤマザキ動物看護短期大学 専攻科
石野徳博

-概要-

問題:
皮膚の構造はその生物の生活している環境や生態を大きく反映していると推測することができる。犬の顔面をサーモグラフィーで観察すると、眼球および上下眼瞼の周囲と口部(上下の唇)周囲の表面温度が、他の顔面皮膚の表面温度に比べ高い。その他の動物種を見ても、同様である。このことは、生物が活動するうえで何らかの重要な役割を持ち、活発に働いていることが推測される。
方法:
犬の顔面皮膚のパラフィン標本を作製、HE染色した皮膚切片ごとに顕微鏡による観察及び比較をし、構造にどのような差があるのか考察を行った。
結果:
皮膚表面の温度の高い部位には多くの毛細血管と触毛の分布が認められた。犬の眼瞼には眼窩上毛、上唇には上唇毛、下唇にはオトガイ毛と下唇毛と呼ばれる触毛が存在している。また、ゴマフアザラシにも多くの触毛があり、触毛が生えている部位は周囲の皮膚表面の温度と比べて、1.3℃~2℃温度が高くなっているという。これは触毛が持つ毛包血洞に非常に多くの血液が流れていることに由来し、感覚器として敏感に反応するため常に温度が高く保たれているものと考えられる。
犬も同じように触毛によって表面温度が高くなっていることが分かった。触毛の分布が認められなかった下眼瞼は、眼瞼結膜側に多くの毛細血管が存在している為や、筋層および結合組織層が全体的に薄い構造のため眼球の温度が表面に現れ、温度が高く表示されていると考えられる。
鼻の表面温度が低く表示されているのは、非常に厚い表皮によって下層にある多くの毛細血管の温度が表面に現れないこと、および鼻表面が分泌物により湿っているため、気化熱により表面温度が低くなっているものと考えられる。
考察:
構造や温度を高く保たれていることから、犬の触毛は感覚器として幾らか機能していることが推測される。また、犬には様々な犬種がいる為、原産国の環境や生態などから皮膚形態も多様であることが考えられる。

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