活動の紹介

専攻科論文

「子どもに対する動物愛護思想の普及・啓発」
-動物とのふれあいによる情操教育的効果-

ヤマザキ動物看護短期大学 専攻科
善光あすか

-概要-

問題:
ペットブームに伴う動物遺棄をはじめとした動物に関わる残虐な事件等の様々な問題は、動物に関する知識不足や、誤解から発生していると考えられる。21世紀に入って日本では急速な核家族化が進み、一軒家を保有していた昔に比べ、ペットを飼育することが困難な住宅(賃貸)等で生活する家族が増加したため動物を飼いたくても飼えないという状況も少なくない。そのため、子どもたちが動物と親密にふれあう機会は減少している。
今回の研究では、第1章「子どもに対する動物愛護思想の普及・啓発-動物訪問活動における有効性の証明-」、第2章「動物とのふれあいによる情操教育的効果-アンケート調査によりわかること-」と題して調査を進めた。
方法:
第1章の調査方法として、子どもに動物愛護思想を教えるための、動物とのふれあいがあり、動物のことを勉強することができる「動物訪問活動」について調査するため、自治体(東京都)が行っている「動物ふれあい教室」に実際に計3回参加し、そこでのビデオ撮影や写真撮影、質問に対する挙手での調査を行い、有効性の証明を試みた。
第2章の調査方法として、動物とのふれあいにおける情操教育的効果の検討を行うために以下のアンケート結果を参考に検討を行った。
① 財団法人日本動物愛護協会が平成18年3月に作成した「家庭で動物を飼うことによる情操面での教育的影響に関する調査研究報告書」を参考。
② 「八王子市子ども体験塾」での計2回のアンケート調査
③ 「動物愛護親子教室」での計1回のアンケート調査
結果:
〈第1章〉
今回の合計3回の活動では、どの回においても動物が苦手、初めて触るという子どもが参加していた。会場で犬を最初に見たときは、警戒したような不安な表情を浮かべていた子どもたちが、最後には自分から犬についての質問をしたり、犬を触ったりするという大きな進歩が見られた。
反対に、動物が好きなあまりに犬に急に手を出してしまう子どもは、犬に急に手を出してはいけないことを学ぶと、勉強した犬への「近づき方」、「あいさつ」、「触り方」を実行するという、咬傷事故防止につながる行動がみられた。
これらから、動物訪問活動である「動物ふれあい教室」において、子どもに動物愛護思想の普及啓発の効果が期待できるといえる。
〈第2章〉
それぞれのアンケート結果においても、動物とのふれあいは子どもに影響を与えていることがわかった。そしてその影響とは、情操面での教育的効果であると認識している親が多く、子どもを積極的に動物にふれあわせたいという心情がうかがえる。しかし、現代において、動物とのふれあいの機会は減少傾向にあり、家庭で動物を飼育することができない人にとって、動物訪問活動等で小学校や幼稚園、児童館などで活動をすることは、無理なく子どもたちに動物愛護思想を身に付かせ、情操面での教育的効果をあげるには適していると考える。
考察:
子どもに動物愛護思想を教えるためには、動物訪問活動をすることがその導入として有効である確認をしたが、ただ動物を連れて行って「触る」だけでは目的から少しずれた活動になってしまうと可能性がある為、注意しなくてはならない。それというのも、学校への訪問活動の場合、親の立場・学校側の立場から考えて子どもの怪我や感染症からの安全の保証がなくては、不安を与えることとなる。そのため、知識不足のスタッフだけではその安全性は低くなってしまう。
講師(活動の主体となる人物)としてふさわしい人はやはり専門的な知識・技術ともに身につけている必要がある。それは活動を安全に進行する目的と正しい動物愛護思想を教えるために必要不可欠であると考える。
講師の養成をするにあたって、適していると考えられるのが動物看護師の資格を所有している人物であると考える。その理由としては、活動を円滑、安全に進行し、動物の健康管理をするために、動物の一挙一動を観察し、異変を感じた場合には的確な処置、指示ができなくてはならない。加えて公衆衛生を理解し、人と動物の共通感染症を予防しなくてはならないため、動物衛生看護師の知識と技術が必要である。また、活動に参加する動物は清潔で、好印象を与える見た目であるため、グルーミング(動物の美容師)としての知識・技術も必要である(匂い、手触り等)。さらに、事故を防止するため動物をコントロールする技術としてトレーナー(訓練師)としての知識・技術が必要とされる。
これらの資格を有する動物看護師は講師に適しているといえると考える。この活動の拡大に向けて動物看護師の積極的な参加を推奨したい。今回の調査では、動物訪問活動「動物ふれあい教室」の問題点と改善策を挙げてみた。活動がより円滑になるように今後に生かしていきたいと考えている。そして、より多くの子どもたちに動物愛護思想を理解してもらい、人と動物の調和のとれた共生をめざすバックアップを動物衛生看護師として進めたい。

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